健康的で無理のない適切なダイエットを行うには、食事の内容に気をつける必要があります。そのために重要な指標なのが、エネルギー産生栄養素バランスである「PFCバランス」です。
人によって適切なPFCバランスは異なるので、自分のPFCバランスを知っておくと効果的かつ無理のない範囲でダイエットや健康維持が期待できるでしょう。
本記事では、PFCバランスとは何か、理想のPFCバランスの計算方法や、食事において気をつけたいポイントについてご紹介します。
PFCバランスとは?
PFCバランスとは、健康を維持するうえで大切なエネルギー源となる3大栄養素が、全体のエネルギーに対してどのくらいの割合を占めるのかを示した指標のことです。たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のそれぞれの頭文字を取り「PFCバランス」といわれています。
健康的で無理のない適切なダイエットを行うには、PFCバランスを意識することが大切です。目指す体型によって、目標のPFCバランスは人それぞれ違います。そのため、自分に合ったPFCバランスを理解することで効果的かつ健康的なダイエットにより、健康的な体型を維持できます。
また、タンパク質や脂質、炭水化物は私たちの体内でそれぞれ重要な役割を果たしています。ダイエットのために栄養素や摂取カロリーを極端に増やしたり減らしたりすると、体調不良につながる可能性もあるので注意が必要です。
ここではPFCのそれぞれが担う栄養素の役割について、詳しく説明します。
- P=「タンパク質」
- F=「脂質(脂肪)」
- C=「炭水化物」
P=「タンパク質」
P(タンパク質)は、筋肉や血管、髪の毛などの身体組織の主成分です。人の身体は約60%が水分で、15〜20%はタンパク質から成り立っています。そのため、水分を除いた身体の中半分程がタンパク質で出来ています。
タンパク質は筋肉や内臓、皮膚など身体の基礎を作るために必要な栄養素です。このことから、タンパク質が不足してしまうと筋力が低下したり、体調を崩しやすくなる可能性が考えられるでしょう。タンパク質は1gあたり4kcalです。
F=「脂質(脂肪)」
F(脂質・脂肪)は、ホルモンや細胞膜の原料やエネルギーを蓄える役割があります。
脂質には保湿作用を促す働きがあるので、脂質が不足すると皮膚の乾燥の原因となってしまいます。また、体温を維持する働きもあるので、脂質が不足すると低体温の原因にもなります。
脂質は少しの量でもエネルギーに変わる効率の良い栄養素ですが、摂取しすぎてエネルギーが溜まりすぎた状態になると、肥満の原因となるので注意しましょう。脂質は1gあたり9kcalで、三大栄養素の中で、最もカロリーが高いのが特徴です。
C=「炭水化物」
C(炭水化物)は、筋肉や脳などに影響を与える主要なエネルギーです。脳にとって唯一の栄養素であり、瞬発的な運動に使われる筋肉のエネルギー源となります。
脳は筋肉と違い、栄養素を蓄えることができません。そのため、身体を動かしたり頭を使うことで多くのカロリーが消費されていくので、適度に補給するように心がけましょう。さらに炭水化物が不足してしまうと、筋肉が自ら分解してエネルギーを作ろうとするので、筋肉量が減り基礎代謝が下がる原因にもなります。
炭水化物は 1gあたり4kcalです。
理想のPFCバランスとは?
理想のPFCバランスを保つことで、生活習慣病とその重症化を予防する効果を得られるため、厚生労働省では以下のバランスを推奨しています。
・P(たんぱく質):13~20% ・F(脂質):20~30% ・C(炭水化物):50~65% |
しかし「筋肉を付けたい人はタンパク質の割合を多めにする」のように、ダイエットやトレーニングなどの目的がある場合は、それに合ったPFCバランスを理想とすることが望ましいです。
また、普段からPFCバランスに目を向け、外食や買い物の際に3つの栄養素がどれだけ含まれているのかが意識できれば、日頃の食材選びも大きく変わるでしょう。1日それぞれの摂取量を気にするとより効果的なダイエットになります。
バランスよく効率的にPFCを摂取するためには、日頃から摂取している食事の栄養成分を書き出したり、アプリなどを使用し目に見えるように可視化しておくと、足りない分の栄養素がわかります。また、足りない栄養素を含む食べ物や、プロテインやサプリメントなどで栄養素を補うことで、PFCバランスが整いやすくなります。
PFCバランスの計算方法
PFCの計算方法は、以下の通りです。
・P(たんぱく質):除脂肪体重×2~3g ・F(脂質):摂取可能カロリ-目安×0.1~0.2 ・C(炭水化物):摂取可能カロリ-目安-P-F |
実際に「体重53kgの女性」「体脂肪率が30%(除脂肪体重=37.1)」の場合を例に、詳しく見ていきましょう。
◼︎ P(たんぱく質): 除脂肪体重(37.1) x 2g=74.2g
kcalに換算すると・・・たんぱく質は1gあたり4kcalなので74.2g x 4kcal = 296kcal
◼︎ F(脂質):摂取可能カロリー目安の20%
摂取可能カロリ-目安=除脂肪体重(37.1)×35~40ですが、この場合は×35で計算すると
=1298kcal
摂取可能カロリ-目安が1298kcal、その20%が脂質の占めるカロリーの割合になれば良いので、1298 x 0.2 = 259kcal という計算になります。
グラムで換算すると、脂質は1gあたり9kcalなので、259kcal ÷ 9 kcal = 「28.7g」
◼︎ C(炭水化物):摂取可能カロリ-目安-P-F
たんぱく質が296kcal、脂質が259kcalなので、1298kcal – ( 296kcal + 259kcal ) =743kcal
グラムで換算すると・・・炭水化物は1gあたり4kcalなので、743kcal ÷ 4kcal =「185g」
以上のことから、P(たんぱく質) 74.2g F(脂質) 28.7g C(炭水化物) 185g
これらがPFCバランスを踏まえた、各栄養素の目標摂取量となります。
また、「栄養成分表示」のある商品については必ず「エネルギー」に加えて、「タンパク質」「脂質」「炭水化物」が表示されています。食品を選ぶ際には必ずチェックして、1日のトータルが自分の目標数値に近い量になるように摂取することが大切です。
PFCが含まれている食べ物
PFCが含まれている食べ物を、栄養素ごとに紹介します。PFCを組み合わせて調理するなどで、バランスよく摂取しましょう。
栄養素 | 食品 |
P(タンパク質)が含まれる食べ物 | 肉類、魚介類、卵類、大豆製品、乳製品 |
F(脂質・脂肪)が含まれる食べ物 | 油(サラダ油、ごま油、オリーブオイルなど)、脂身の多い魚類(ブリ、トロ、サバなど)、脂身の多い肉類(ひき肉、霜降り、バラ肉など)、アボカド、乳製品(バター、チーズ、牛乳など) |
C(炭水化物)が含まれる食べ物 | 砂糖、米、麺類(うどん、ラーメン、そばなど)、パン類、芋類、フルーツ |
食材から栄養摂取できない場合は、プロテインや栄養補助食品などで、バランスを整えることもおすすめです。
PFCバランスを守る上で気をつけるポイント
PFCバランスを守る上で気をつけるポイントとして、以下の2つが挙げられます。
- 炭水化物の種類を把握する
- 脂質の質にこだわる
気をつけるポイントを把握し、より効果的にダイエットを進めましょう。
炭水化物の種類を把握する
気をつけるポイントとして、炭水化物の種類を把握しておきましょう。炭水化物の中には米やパン、麺類などの他にも砂糖などの糖質やアルコール、食物繊維も含まれています。
中でも菓子パンや精白パスタなど加工されているものは、ミネラルやビタミンがあまり含まれていません。そのため、表示されている数字上では炭水化物の目標範囲に収まっていても栄養価は低くなってしまいます。
一方で、芋類やフルーツなどは、炭水化物を取りつつビタミンやミネラルなどの栄養素も摂取することができます。ただ炭水化物を取るのでは無く、質の良い炭水化物を摂取することをおすすめします。
脂質の質にこだわる
脂質は三大栄養素の中でも1gあたり9kcalと1番高く、ダイエットの天敵と考える人も多いでしょう。しかし、脂質は細胞膜やホルモンを作る働きや、体温調節も行う大事な栄養素となるので、脂質の質にこだわりながら摂取していきましょう。
例えば、普段使用する油には、生活習慣病を予防してくれる「不飽和脂肪酸」が多く含まれているオリーブオイルやえごま油などがおすすめです。また、マーガリンやショートニングなどは、悪玉(LDL)コレステロールを増やす「トランス脂肪酸」が含まれているため避けたい脂質です。
このように、同じ脂質でも身体に与える影響が異なるため、質の良い脂質を摂取する習慣を付けましょう。
PFCバランスは携帯アプリでも調べられる
PFCバランスは携帯アプリでも調べることが可能です。
食品の栄養成分を調べたり、食べたものを記録していくアプリを使用することでダイエット中の食事管理がしやすくなります。各栄養素の目標数値を設定し、その数値に合わせて食事することがゲーム感覚になり、楽しみながらダイエットが可能です。
ダイエットの食事には「PFCバランス」が重要
ダイエット中の食事で「PFCバランス」に気をつけることで、栄養不足や偏りを防止することができます。もし、カロリーを抑えることだけでダイエットをした場合でも、リバウンドにつながってしまうため、バランスを取り正しい食事をすることをおすすめします。
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